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公開御礼ティーチイン舞台挨拶 オフィシャルレポート

『カメの甲羅はあばら骨』の全国公開を記念して、10月30日に都内劇場でティーチイン舞台挨拶が行われ、キリン沢リン太郎を演じた野津山幸宏さんと、モリ・マサ監督が登壇し観客からの質問にお答えいただきました。舞台挨拶の模様をお届けします!

映画上映後のネタバレありのティーチイン舞台挨拶で、まずオファーを受けた時の感想を聞かれた野津山さんは「最初は『は?』と思いましたね(笑)。事務所から『役名 キリン沢リン太郎』というメールが来て全く想像ができなかったんですけど、台本を読んだら確かにこれはキリンとしか言いようがないなって納得しました」と当初困惑した模様。そんなキリン沢役の起用についてモリ監督は「『ヒプノシスマイク』で野津山さんの声を聴かせていただいて良い声だなと思っていて。いつか適役があればお願いしたかったんです」とモリ監督からの熱いオファーであったことを明かしました。

続けてMCから印象に残ったシーンについて聞かれると、野津山さんは「カメ田とカエル川が河川敷で語り合うシーン、ムダに綺麗だなあって(笑)。二人が動物人間であることを忘れるくらい青春のいいシーンだったなと思います」と背景美術の美しさについて触れ、モリ監督は「綺麗な背景とか、まっすぐな青春ストーリーだとか、動物人間とは対極にあることをやり切ることが全体的なチャレンジとしてあった。綺麗な夕日もその一つです」とこだわりを滲ませました。

モリ監督のこだわりは他にも細部に渡り「キリン沢が働いている建物が『脱臼ビル』というんですけど、あそこは道を外れた人たちが働いている場所なので、骨に置き換えたら【脱臼】だなということで名づけました」と明かし、野津山さんは「細かいですね!気がつかなかった…」と驚きの表情。さらにモリ監督はキリン沢というキャラクターについて「キリンは首が長い分、頭に血を送るのが大変なんです。つまり血圧が高く、熱い血を持つ。そして首のようにまっすぐなキャラクターになりました。ただ、道を外れてしまった時には首が曲がってしまい、アウトローになってしまったという事を表現しています」という骨に基づいた性格をしていることを熱心に語りました。

アフレコ収録がトップバッターだったという野津山さんは「監督からアドリブをどんどん入れて欲しいと言われていたんですが、毎回ブースに入って来てアドバイスをくれるのが基本アドリブの部分だけっていう(笑)。監督の頭の中で、台本に書いていないものが出来上がっているんだなって、印象的でした」と話し、モリ監督は「キリン沢がボールをブロックしているシーンは『ボールおいしい!』って言ってもらいました(笑)」と満足気な様子でした。

そして後半は、観客から野津山さんとモリ監督に質問できるティーチインパートに。
首が長い役で、声の出し方を変えたのか?という質問に対し、野津山さんは「特に変えてはいないですが、普段の収録より動いていましたね。キリン沢は運動するシーンが多かったので、汗をかきながらやってました」と動物人間の収録秘話について話しました。

好きなキャラクターついて聞かれると、モリ監督は「ゾウ人間ですね。何にも考えていなくて、みんなの意見に同調して…楽な人生を送れるんじゃないかなって」とまさかのチョイス。野津山さんは「サメかな。歌上手いですし。マイクに噛みついて(地面と)一直線になっているのすごいなって。舞台挨拶とかでやってみたいです(笑)」と笑わせました。

続けて、最後のシーンでカメ田の首が伸びた理由について聞かれたモリ監督は「カメ田は保守的で、これまでは首を引っ込めていたんですが、最後には自分の中で骨が一つ見つかった。首を長く伸ばして遠くを見るようにして、カメ田が成長している様子を描きました。映画の始めで(骨の様に)割れてしまっていたタイトルロゴはカメ田の中の骨をイメージしていて、最後には自分の中で割れていたものがパッと一つにくっつくのを表現している」と伏線が張られていたことを明かしました。また、質問した観客のお気に入りキャラクターだというワニ渕ワニ平について聞かれると「ワニ渕とワシ崎は一見嫌な奴に見えるんですけど、僕の中ではリスペクトしていて。カメ田とは違って一貫して自分のポリシーを持っていて、あんなにライオン寺を慕っていたのに簡単にサメ津に乗り換え、強い者にくっついて行くという。中身の良し悪しは置いておいて、ポリシーのある人間はカッコイイなと思っています」とキャラクターへの愛を滲ませていました。

最後に野津山さんからモリ監督へ、学生時代のスクールカーストの立ち位置について質問すると「物語にもならない、無味無臭でしたね。何にも没頭していない一番しょうもないやつです」と自虐気味に話し、対して野津山さんは「僕は、静かな人ともワニワシみたいな(目立っている)人とも話していたんですけど、大人になってからなんか深い友達いないなって(笑)。自分も骨なしだったなって気づきました」と作品になぞらえてチャーミングに答えていました。